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・「汚染」とはH2O以外のものが混入することをいうのでしょうか?人間,自然に悪影響がないものむしろ良いものが交じることも汚染なのですか?
汚染を定義することは難しいですが,必ずしもH2O以外のものが混入することを示す訳ではありません.例えば,鉱物中のMgやCaが風化で水に混入することは汚染とは通常は言いません.良いもの(例えば栄養分)が混じること自体は汚染ではないのですが,良いものでも過剰に混入すると生態系のバランスが崩れて悪影響を及ぼします.したがって,過剰に混入すると「汚染」ということになります.

・ジュウ(重?)炭酸イオンってなんですか?炭酸水素イオンではなく?
HCO3-を英語で言うとhydrogen bicarbonateとなります.この接頭辞biが「重」にあたるようです,

・重金属による汚染は近年はほとんど起こっていないように思えますが,将来的に排出量・排気量が多くなりそうな重金属はあるのでしょうか?
日本では重金属汚染は現在はほとんど起こっていませんが,インドやバングラディッシュでは地下水のヒ素汚染が問題となっています.このために,飲料水の確保が困難になっています.将来的に確実に問題となりそうな重金属は見当たりませんが,経済発展期に使用していた施設の土壌汚染などは現在も問題になることがあります.

・KHやK’がよく分からなかったです. 
KHはヘンリー定数,K’は平衡定数です.教科書などで調べてみてください.

・森林の何が汚染源となるのかが分かりませんでした.
最近問題になっているのは,森林が窒素汚染源になりうることです.森林は通常は水質浄化機能を有していて,渓流水中の窒素濃度は通常は低いのですが,大気汚染によって来季由来の窒素の供給が過剰になると森林生態系の窒素循環に影響を与え,森林生態系が窒素飽和になる状態になる場合があり,渓流水中に窒素が流出し,汚染源になることがあります.

・トリリニアダイアグラムのI, II, III, IVの範囲の見方について
I, II, III, IVの範囲は菱形の枠内のみです.右・左の三角の部分はそれぞれ陽イオン,陰イオンの成分比率を示しています.

・水質の項目に電気伝導度(EC)がありますが,これはどういったもので何に影響をあたえるのでしょうか?
イオン交換反応の話でNa+が残ることと塩害は関係ありますか?
電気伝導度(EC)は電気の通りやすさの指標であり,水中に含まれるイオン量の指標になります.溶液中に含まれるイオンが電気を運ぶ役割があるためです.ただし,イオン成分にも様々あり,各イオン成分には固有の電気伝導率を示すことや水温によっても電気伝導度が変化します.このためこのECはイオン量の指標として用いられることが多いのですが,比較的簡単に現場で測定できることからよく測定されています.

・イオン交換反応の話でNa+が残ることと塩害は関係ありますか?
結論から言うと関係ありません.地下水中でイオン交換反応が進むとNa+は水中に残りますが,塩害を引き起こすほどの濃度には通常なりません.

・面源汚染の対策方法にはどのようなものがあるのか?
点源汚染と比べて対策は困難ですが,農地であれば肥料管理を適切に行う,森林であれば,再造林化に努めるなどが考えられます.また,窒素は大気由来の汚染があるため,大気への窒素汚染を削減することも対策として考えられます.
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