水・物質・エネルギーの循環に関して,特に蒸発散に着眼して教育研究を行っています.現在は,様々な緑地や森林(針葉樹人工林,常緑広葉樹林,落葉広葉樹林,竹林等)における水・物質・エネルギー循環の実態を把握するとともに,樹木の配置や立木密度の管理等によってこれらの循環をどのように制御できるのか,それによって水資源や微気象をどのように制御できるのかを探っています.
河畔域は流域の中でも河川生態系への影響が特に大きなゾーンであり、陸域生態系にも重要な役割をもっています。 例えば、河畔域における水の動きは複雑であり、川の溶質移動や水温をコントロールしたり、水生生物の生息地環境を向上していると言われています。 そこで私は、河畔域での水の動きと物質の流れ、生物の活動を結びつけることで、河畔林の持つ特性を解明し、河川・流域の管理に結びつけることを目的としています。
土壌の生物多様性がなぜ高いのか,という謎は50年近く前に提示されましたがいまだに謎のままです。私は全国の演習林を利用して,気候や地形,施業などによる森林の様々な変化が,小さな土壌分解者群集の機能や多様性に与える影響を森林生態系の生産・分解・蓄積のバランスから説明しようと試みています。
陸域における窒素循環の研究を行っています.近年,人為活動に伴ってグローバルスケールで窒素の循環量が増加しており,生態系への影響や河川水質の悪化が懸念されています.通常,窒素は生物にとって不可欠な元素ですが,多すぎると富栄養化を引き起こします.私は,陸域における水,植物,土壌などの化学分析を行うことで陸域における窒素循環のフローを記述し,その循環過程を解析することでその問題の理解や解決を目指しています.
森林は、光合成によって吸収した炭素をどこでどんな風に利用しているのでしょうか?樹木が葉や幹、根を作り、また、それらの組織が呼吸するためには炭素が必要不可欠です。森林は動くことができないので、生育する環境にあわせて、限られた炭素をうまくやりくりし、生命を維持する必要があります。したがって、森林の炭素の利用の仕方は、土壌環境や気象条件によってダイナミックに変動します。その様な炭素利用の可塑性は、森林の生き様そのものです。色々な環境下における森林の生き様を知るべく、森林の炭素循環に関する研究を行っています。
森林の種類や管理形態が流域全体の水・物質循環にもたらす影響と,その結果としての河川の水量・水質の変化に興味があります.日本には多くの人工林が存在しますが,それらの大部分は十分な管理が行われていません.私は,そのような森林の土地利用が下流の河川の水量や栄養塩濃度の変化にどのタイミングでどのくらい寄与しているのかということを,水文・水質観測と安定同位体比を用いた解析から明らかにしていきたいと考えています.