都市近郊の森

福岡演習林

   

 福岡演習林(482ha)は,福岡県粕屋郡篠栗町と久山町にまたがって散在します.標高30〜553mで,博多湾に注ぐ多々良川水系,新建川と金出川の源流部にあたります.


 演習林本部事務所のある9〜11林班の地質は第三紀層で,凝灰岩や凝灰質砂岩の互層とからなり,標高100m以下の丘陵地形になっています.かつては石炭の採掘がおこなわれていました.その他の山岳地は,わが国最古の地層の一つである古生層に属します.そのほとんどが角閃岩ですが,一部には蛇紋岩や閃緑岩,巨晶花崗岩などの分布もみられます.

 年平均気温16℃,暖かさの指数134,年降水量1790mmであり,梅雨期や台風のもたらす集中豪雨によって斜面崩壊や林道法面浸食などの被害,また降雪によって造林木が雪害を受けることもあります.

福岡演習林 庁舎

福岡演習林 林相

                  

 自然植生は,アカガシ,ウラジロガシなどのカシ類,シイ類,タブノキ,ヤブニッケイ,カゴノキ,ヤブツバキ,ヒサカキ,ヤマモモなどからなる暖温帯常緑広葉樹林(照葉樹林)が主であり,尾根部などの比較的乾燥した場所には,イヌシデ,コナラ,クリなどの落葉広葉樹林が分布します.かつてはマツ林も少なからずみられましたが,その多くはマツクイムシ被害を被ったために伐採されました.人工林のほとんどはスギ林,ヒノキ林で,最も古い人工林は125年生のスギ林で,学術参考保護林に指定されています.

   

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『森・水・人』−学術の森による森林生態圏科学の展開