ナラ天然林の将来を探る
   −森林の構造解析と長期モニタリング−

   

 北海道の低海抜域においてナラ林は最もポピュラーな森林ですが,ナラ林の安定性について十分に解明されていません.北海道演習林ナラ学術参考保護林(37ha)に2haの固定調査地を設定し,森林の変化の長期モニタリングを行う体制をとっています.

ナラ学術参考保護林の林内

 この森林で最も蓄積が多いのはナラで全体の7割を占め,個体数が最も多いのはイタヤカエデで全体の4割を占めます.ナラは大きな木の割合が高く,イタヤカエデは小さな木の割合が高いためです(下図).

●ナラとイタヤカエデの樹高分布

イタヤカエデは高い木ほど数が減りますが,ナラは樹高による個体数の変化が明らかではありません.

ナラ

イタヤカエデ

●後継樹の密度分布

 イタヤカエデは子供(後継樹)を増やすのが得意のようです.1マス10×10m,色の濃いマスほど高密度であることを示します.

 このナラ林はナラとイタヤカエデが上層で混交する森林に変化するものと予想されます.これを証明するためには,長期にわたり実際の森林の変化を観察していくしかありません.試験地内の樹木に番号を付け,1本毎の動きを観察していきます.    

番号タグによる個体識別

[トップページ] | [北海道演習林のトップページ] | [前ページ] | [次ページ]

『森・水・人』−学術の森による森林生態圏科学の展開