16林班・17林班には高齢のクスノキが比較的まとまって生育している.この林分は,戦前,台湾を含む国内各地において樟脳生産を目的にクスノキ造林が奨励された時代に植えられたものである.近年,各地のクスノキ造林地が消失していく一方で文化財修復用の大径材の不足が指摘されている.このことを背景に,2011(平成23)年度(2012年3月)にクスノキ人工林(1.67ha)は文化庁の「ふるさと文化財の森-クスノキ材供給林-」として認定された.「ふるさと文化財の森」は,国宝,重要文化財などの文化財建造物に必要な資材のモデル供給林及び技能者育成のための研修林として相応しい林に設定され,学生・一般市民に対する文化財教育への貢献も求められている.文化財建造物の修理用資材の生産に関する見本林として調査を行うとともに教育資料として活用する.具体的には,調査区を設定し,成長や材質の長期モニタリングを実施する.