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早生樹育成試験

スギやヒノキをはじめとする一般的な人工林では,建築などに用いる大きな木材を得ることを目的としているため,植林から最終的な伐採まで40年から60年ほどの長期間を必要とする.しかし近年は木質バイオマスの用途が多様化し,製材品だけでなく,パルプや合板,ボードの原料のほかに,バイオマス発電のエネルギー源としても注目されている.  短期間でこの木質バイオマスを得る手段として,早生樹による短伐期林業が注目されつつある.早生樹とは初期成長が速く,短期間に多量のバイオマスが収穫できる樹種のことであり,木材産業界だけでなく,林家や林野行政担当者など様々な分野の関係者が関心を寄せている.  しかし国内における早生樹の取り組みとしては,かつてユーカリなどの導入が試みられたことがあったものの,継続的な試験や産業化が図られることはほとんどなかった.そのため早生樹育成に関する科学的知見は乏しく,早生樹とされる各樹種の成長様式や木材の材質,育成技術,林地への影響は不明のままである.  そこで福岡演習林は農学研究院木質資源理学研究室との共同研究として,優れた初期成長が期待される国産樹種と外国産樹種の植栽育成試験地1.15haをかすや樹木園内に整備し,2015年春より試験を開始した.国産樹種としてはセンダン,ケンポナシ,チャンチンモドキを,外国産樹種としてはチャンチン,ユリノキ,ニセアカシア,コウヨウザン,アオギリ,ユーカリ属4種を,それぞれあせて約350本植栽し,毎年定期的な森林管理と成長量調査を実施し,その経年変化を長期的にモニタリングすることとしている.

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