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*福岡演習林の概要 [#off20105]

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~
**自然環境 [#c6c4bc26]
***位置 [#sbb3e553]
 福岡演習林は,福岡都市圏内にある都市近郊林であり,福岡平野を囲む山系の一部である.南部に若杉山(標高681 m),三郡山(標高936 

m),宝満山(標高869 m)といった三郡山地,北−北西部に犬鳴山(標高583 m),立花山(標高367 m)が位置している.~
 九大箱崎キャンパスから東方に約10〜15 km離れており,福岡県糟屋郡篠栗町および久山町にまたがって分布している.福岡演習林は,博

多湾に注ぐ多々良川水系の新建川と金出川の源流部に分布し,14団地に分けられている.総面積は481.44 ha,標高は30 m〜550mの範囲にあ

る.~
 福岡演習林は,暖かさ指数134,1997〜2004年における平均気温が16℃,平均年間降水量が1665 mmであり,比較的温暖である.降雪は12月

中旬から始まるが,新建,新谷(12〜19林班)および鹿倉(20林班)団地以外ほとんど積雪はみられない.~
 福岡演習林の9〜11林班は第3紀層の凝灰岩・頁岩と砂岩の互層で,石灰層が発達しており,1960年代の半ばまで石灰採掘が行われていた.

1〜7林班および12〜23林班は古生層であるが,1〜7林班および21〜23林班は片状角閃岩,12〜20林班は葉状角閃岩をそれぞれ主体としている

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***植生 [#m57bb2a8]
 植生は,1970年代半ばまではアイグロマツも見られたがマツノザイセンチュウによる松枯れのために全滅した.現在では沿岸性の常緑広葉樹のタブ,スダジイ,アラカシ,シラカシ,ヤブニッケイ,ヒサカキ,ヤブツバキ,クロキ,クロガネモチ,クスノキ,カゴノキ,サカキ,イスノキ,アオキ等の樹種が優勢し,高地には暖温帯性落葉広葉樹林のコナラ,リョウブ,エノキ,ムクノキ等が分布する箇所もある.林床は,やや乾燥気味でコナラ,シャシャンボ,ナツハゼ,ネズミサシ,ウラジロ,コシダ等の乾燥地型植生も多く分布している.暖温帯性上部針葉樹林のモミ林がわずかに認められる箇所もある.

***面積,蓄積および成長量 [#k644417e]
 福岡演習林の現在の樹種別面積・蓄積は下表のとおりである。1976年(昭和51年)当時25%を占めていたマツ林はマツノザイセンチュウのためにほとんど消滅し,広葉樹林に変わっている.
 森林の総蓄積121,810 m3は,1996年(平成8年)に比べてほとんど変化していない.樹種別でも,1996年(平成8年)当時と比べてほとんど変わっていない. 
 人工林の齢級別面積は,8〜11齢級(36〜55年生),15〜17齢級(71〜85年生)および19齢級以上(95年生以上)が大きい.特に,間伐適期の8〜11齢級にスギ,ヒノキの半分が集中している.また,15〜17齢級にはスギの約20%,ヒノキの約10%が19齢級以上にはスギの約10%,ヒノキの約27%と,いずれもかなりの割合を占めている.


**面積と蓄積 [#z910d394]

地種・人天別面積、蓄積(ha,m3)
RIGHT:[2007年現在]
|center|center|center|center|center|center|center|center|c
|林班|>|森林面積合計|>|>|人工林|>|天然林|
|~|面積(ha)|蓄積(m3)|面積(ha)|%|蓄積(m3)|面積(ha)|蓄積(m3)|
||448.16|128,661|304.24||114,841|143.92|13,820|
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蓄積(ha,m3)
RIGHT:[2007年現在]
|樹種|面積(ha)|蓄積(m3)|ha当たり蓄積(m3)|
|スギ|92.94|42,227|454.3|
|ヒノキ|184.87|64,832|350.7|
|広葉樹|154.66|14,751|95.4|
|計|451.29|121,810|281.7|

**研究 [#p07f9beb]
 1997〜2006年度の10年間に福岡演習林の森林・林地を活用し,あるいは本演習林からの提供資材を利用し

て得られた研究論文等は総数373編(年平均37編)に達する.森林科学の研究・教育におけるフィールド研究

の場として,演習林の多様な森林群が重要な機能を果たしている.~
 演内には固定試験地が設定されており、ここでは長期間にわたる調査とデータの集積を必要とする研究が行われている。2006年現在で46試験地が存在する.~

**教育 [#dfc2c007]
 1997〜2006年では九州大学の学部教育としての実習が年に4〜6回行われてきたほか,1997〜2003年までの間は専門学校の学生にも実習の場を提供した.全学低年次学生を対象とした実習「フィールド科学研究入門−物質循環プログラム」も森林生態圏管理学講座(演習林)担当の全学教育科目として開講している.~

 市民教育も活発に行われるようになってきている。1997〜2006年度に,市民を対象とした公開講座「子どもに伝える自然のしくみ」(1998〜2000年),小中学校の教員を対象とした公開講座「里山森林体験講座」(2001〜2006年,福岡県教育センターと共催),市民を対象とした「九州大学のフィールド科学教育施設を巡る旅」(2004〜2006年,農場,演習林,水産実験所,生物環境調節センターの4施設共催)を開催した.~

「演習林自然散策の会」は,1998年に,毎月1回資源植物園内を案内する植物観察会として始まった.公募はもう行っていないが毎月20〜25名の市民が参加する観察会が持続しており,参加者が拡がると同時に植物調査や植物園の案内をボランティアで補助する人材も育っている.1998年5月〜2006年12月までの参加者は延べ2495人である.~

 1998年から,九州大学開学記念日である5月11日前後に施設開放事業を行っている.午前と午後の2回,それぞれ2時間ずつ建物施設や資源植物園内を案内するもので,2006年までの9回で延べ266人が参加した.~

 2002年から年に1回,小学生低学年児童を対象に「子どものための森のサイエンス」を実施しており,毎回約30人の参加がある.また,2006年から,九州大学社会連携事業の一環として「森で遊ぼう・森で学ぼう」を年間3回実施している.これは,篠栗町教育委員会と連携して,篠栗町内の小学校児童への広報と評価を教育委員会が,活動の企画と実施を福岡演習林がそれぞれ担当して,地元の児童に季節に応じた森林体験プログラムを提供するものである.毎回約50人の参加がある.~

***演習林インストラクター [#k2550e78]
 演習林インストラクターの制度は2006年度から始まった.演習林が主催する講習,研修等に参加し,森林,林業,樹木等に関する基礎知識と,演習林の管理に対する理解を持つと認められる者を演習林インストラクターに認定し,演習林の教職員の指示の下に演習林利用者への指導活動の支援に携わってもらうという趣旨である.公開講座受講者や自然観察会参加者から募集して,2006年現在,8名が認定されており,公開講座や児童生徒の校外学習の際の指導補助などの活動を行っている.

**資源植物園 [#wc051e39]

 本演習林9〜11林班に、植物遺伝子の収集および保存を目的とした資源植物園がある。本植物園は『産業植物園』として1976年から造成に着手され、約50haにわたる範囲に樹木の植栽がおこなわれてきた。1986年に『資源植物園』と改称し、亜熱帯植物区、常緑広葉樹区、ナラ、カシワ区、芝生広場区など12に区分され、約350種、8000本近い樹木が植栽されている。関連分野の研究試料として、また樹木学などの教育材料としての活用を始め、近郊の小、中学生など一般市民の社会教育の場としても活用されている。

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**早良実習場 [#u12cb74c]

 本実習場(50ha)は、1922年『早良演習林』として設置された。1993年10月、管理と運営の効率化をはかるため、『福岡演習林早良実習場』と改称し、福岡演習林として管理されることとなった。本実習場は福岡市西区今津湾の海岸砂丘上に位置し、ほとんどはクロマツ、アカマツの海岸マツ林で覆われている。近年、隣接地が住宅地化し、また都市林としての性格も強くなってきた。なお本実習場は、防風保安林、文化財保護法による元寇防塁特別史跡、玄海国定公園、同第一種特別地域に指定されている。


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