森林生態学ゼミ 20040428

森林の生態〜樹木の生態生理を研究している人達の教室横断ゼミです。 第二回は、森林計画学教室に帰って来られた溝上さんのお話。御来聴歓迎。

日時/場所

2004年4月28日 13:30 / 九州大学農学部2号館517号室

講演

スギ・ヒノキ人工林における帯状・群状伐採の意味

森林計画学研究室
溝上 展也

複層林といえば,大きい木の下に小さい木が植栽されている「二段林」が一般的ですが, 集約的な保育が必要なことや下木の成長・形質が悪いといった問題が指摘されています。 これに対して,保残林分の樹高程度の狭い幅で帯状や群状の伐採が行われ, その跡地で更新が図られる作業は帯状複層林施業,群状複層林施業と呼ばれており, 作業効率のよい複層林施業として期待されています。そして帯状・群状複層林施業は, 平成13年度から国の施策として始まった「長期育成循環施業」の一形態に位置づけられており, 全国的に広く推進されようとしています。 

帯状・群状伐採―更新方式自体は欧州では100年以上も前から行われており, そこには乾燥害や風害から更新木を保護するという明確な意図がありました。 我が国でも寒害が起きやすい北海道や東北のトドマツ造林地では帯状・群状方式は古くから行われてるものです。 しかし九州のような温暖湿潤な地域で,帯状や群状の伐採・更新にどのような意味があるのでしょうか? 人工植栽が一般的な通常のスギ・ヒノキ人工林ではどうでしょうか? 

今回の報告では九州と四国でのスギ・ヒノキ人工林における帯状・群状複層林での植栽木の成長に関する調査結果と 関連する論文を紹介しながら,帯状・群状の伐採・更新の意味を考えるための材料を提供します。

連絡先

田代 直明: nao@forest.kyushu-u.ac.jp

URL: http://www.forest.kyushu-u.ac.jp/staff/tashiro/nanmin/index.html