カラマツ人工林におけるエゾシカ害の発生調査
   ― 林業とエゾシカとの共存 ―

  

 道東地方の森には多数のエゾシカが生息しています.林内のササは重要な餌ですが,冬季は樹皮がこれに代わります.カラマツも右写真に見られるように致命的なダメージを受けます.
この研究の目的は,カラマツ人工林におけるエゾシカ害の発生様式,枝打ちがエゾシカ害の拡大に及ぼす影響を明らかにすることです.エゾシカを駆除するのではなく,エゾシカとの共存を目指すものです.
 調査地1と2の2つのカラマツ造林地において,尾根−谷方向の調査ラインを設定し,96地点,480本について被害の発生状況を調査しました.

エゾシカによる食痕

   

 尾根,沢沿い,林道付近で被害率が高いようです.林道はもちろん尾根,沢沿いは樹木密度が低く,エゾシカの移動経路となるため被害率が増加したと考えられます.
人工林を造成する場合,林道との間に保護樹帯を設ける,尾根,沢に細長く沿う形にしないことによってエゾシカ害を低減できると考えます.現在,枝打ちが被害拡大に及ぼす影響を定期調査しています.

  

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『森・水・人』−学術の森による森林生態圏科学の展開