35 ギンゴケ

ギンゴケ
 歩道上や縁石沿いなどでたくましく生きるコケ植物,ハリガネゴケ科のギンゴケを紹介します.全国でよく見られる普通種で,ビルの屋上や富士山の頂上にも生育し,分布は極地から熱帯までと全世界に広がります.高さは1cm程度で,密集してこんもりとした銀緑色の塊を作ります.ルーペで見ると0.5〜1mm程度の広卵形をした葉が茎に接しています.葉の半分近くは葉緑体がなく透明で,銀色に見えます.この部分は透明尖と呼ばれ,光を反射し水分の蒸発を防ぐ機能があります.またコケ植物には,周囲の環境によって体内の水分量が変わり,乾燥しても枯死せずに休眠することができる変水性という特徴があります.この透明尖や変水性により,常に湿潤でない場所にも生存できます.また茎の先端部は脱落しやすくなっており,脱落した茎から芽を出します.仮根からも発芽でき,さらに無性芽を多量に生じる能力もあり,幾通りもの栄養生殖の手段を持つことが広範囲で分布できる要因と考えられます.(山内康平・田代直明)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

あしょろ自然誌

前の記事

34 アヤメ