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オオワシ
冬に足寄町の空を見上げると,時折,白と黒の羽をもつ大きな影が目に入ります.オオワシは,冬鳥として北日本に渡来し,主に沿岸部で越冬する日本最大級のワシです.翼を広げた幅は2mにもなり,黄色く大きなくちばしと白い肩,くさび型をした白い尾羽が特徴的なので,遠くからでも比較的簡単に見つけられます.魚類を捕食し,時には海鳥やアザラシ等の漂着死体も採餌します.山林では,動物の死体を狙って飛来する様子を観察することもできます.大きな体で晴れた冬の空を飛翔する姿は,十勝ならではの素晴らしい光景です.一方,こうした食物網の頂点に立つ生物は,一般的に環境の変化に弱く,本種も絶滅危惧種に指定されています.開発による繁殖地の減少,漁業や狩猟残渣への餌資源の依存,道路や鉄道,風力発電施設での事故など,人間の社会活動から様々な問題が生じており,保全のための地道な努力が続けられています.(藤山美薫・田代直明)