54 コウヤノマンネングサ(高野之万年草)
地上5〜10cmほどの高さで、まるで小さなヤシの木のようなコウヤノマンネングサ。コケ植物ですが名前にコケとつきません。茎は地中を這う地下茎と直立する地上茎に別れ、上部は湾曲し樹状に枝を出します。地上茎の下部には鱗状の葉が付き、上部には卵形の葉が付きます。毎年地下茎から芽を出すので年次成長が良く分かります。名の由来である高野山では16世紀には霊草として知られ、土産物とされていました。旅に出た人の安否を占う道具とされ、乾燥した状態のコウヤノマンネングサを水に浮かべ、葉が開けば旅人は無事、開かなければ亡くなっていると解釈していたようです。最近では、ガラス容器の中に自然を再現するテラリウムでの利用に人気があり、栽培品が販売されています。国内全土からアジアに広く分布し、山地の林下の湿った地上に群生します。町内では雌阿寒岳や湯の滝周辺で見られます。寒い季節でも足下に広がる緑の世界を覗いてみませんか。(山内康平・榎木勉)
