55 ササ

 足寄の山を覆うササは,ほとんどがミヤコザサという種類です。このミヤコザサの地上部は枝分かれをしていません。足寄には他にスズタケ,クマイザサなどのササも生えていますが,これらは地上部で多く枝分かれをします(ちなみに春先タケノコ採りで人気の「ネマガリダケ(チシマザサ)」もこのタイプ)。枝分かれするササの場合,翌年の枝葉を伸ばすもととなる芽は枝の付け根にあり,地上部に大きなダメージを受けると再生が難しくなります。その点ミヤコザサは芽が土の中にあるため,地上部を刈り取られたり動物に食べられたりしても,あまり影響なく翌年新しい枝葉を出すことができます。かつて演習林が陸軍省軍馬補充部用地だった時代には,放牧していた軍馬にミヤコザサを食べさせていたようです。
 北海道演習林は軍馬補充部から所管替えを受け75年を迎えました。これからも足寄の自然とともに歩んでいきたいと思います。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。(井上幸子・市橋隆自)

ヤマナラシ群落と一面のミヤコザサ(下枠内:左-ミヤコザサ・右-スズタケ)