39 エゾノタチツボスミレ

エゾノタチツボスミレ
 草丈が20~40cmになる大型のスミレで,岡山県以北に分布し,北海道ではほぼ全域に見られます.山地の明るい場所を好み,上部では5㎝程になるハート形の葉をつけ,茎が枝分かれする姿は存在感があります.5~6月には淡い紫から白まで変化に富んだ色の花を咲かせます.2cmほどの花をのぞくと左右の花弁(側弁)に白い毛があります.下側の花弁(唇弁)にある紫の筋状の模様は蜜標と言われる昆虫に蜜の位置を示す模様です.スミレの仲間は花の後ろ側に伸びた「距(きょ)」と呼ぶ部分が特徴ですが,本種は短めで裏側に張り合わせたような筋があります.中に蜜を分泌し,距に入る昆虫に入口のおしべから花粉がついて他の株の花に運ばれます.種まきでも昆虫の力を借ります.熟した果実は,半分開いた豆の鞘のような形になり,閉じる力で種子を押し出します.落ちた種子にはアリが好む物質(エライオソーム)が付いており,餌として種子ごと遠くへ運んでもらいます.(山内康平・田代直明)

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