16 オニノヤガラ

オニノヤガラ

森林内に生えるラン科の植物です。葉は鱗片状で茎にまばらにつきます。高さは1m程で7~8月には茎の先に黄色い花が集まって咲きます。その立ち姿を鬼が使う矢に例え「鬼の矢柄」の名がつきました。また、先がすぼまった花の形からヌスビトノアシという別名もあります。地下にはジャガイモに例えられるような肥大した根茎があり、テンマ「天麻」という眩暈や痒みを抑える生薬としても知られています。 葉緑体を持たず、光合成を行いません。生活に必要な栄養は根で共生している菌類から得ています。このような植物は「菌従属栄養植物」と呼ばれ、他にはギンリョウソウや同じラン科のサカネラン、近年発見されたホンゴウソウ科のヤクシマソウなどがあります。さらにオニノヤガラは共生する菌類が成長過程で変わる珍しい事例として知られています。発芽時はクヌギタケ属などの菌と共生しますが,成熟に至る過程でナラタケ属の菌と共生します。不思議な生態と見た目を持つ植物です。(山内康平・智和正明)

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