13 カムイロキ山

鷲府地区から見たカムイロキ山と天測点

足寄の市街から車で5分ほど陸別方面に進み,旧愛冠駅の方向に目を向けるとカムイロキ山(標高370m)のなだらかな山容が広がります.「カムイロキ」とはアイヌ語で「神様が座っていらっしゃるところ」という意味のようです.十勝地方にはカムイロキという地名が少なくとも二つあり,一つは足寄町愛冠,もう一つは新得町屈足の屈足湖に面する断崖にその名が付けられています.松浦武四朗の十勝日誌(1861年)に描かれた地図には新得町と足寄町にカムイロキの地名があり,アイヌの人々にとって特別な場所だったことがうかがえます.また,カムイロキ山は全国に四十数ヶ所あった天測点が設置された山でもあります.天測点(写真左上)とは星の観測から緯度経度を計算し三角測量のデータを補正するために設けられた標石で,現在は測量技術の発展によりその役割を終えています.カムイロキ山はアイヌの歴史・文化的に重要な場所であるとともに,地図の発達史の中で確かな役割を果たした山でもあるわけです.(中村琢磨・内海泰弘)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

あしょろ自然誌

前の記事

12 湯の滝
あしょろ自然誌

次の記事

14 エゾモモンガ