21 植物のフェノロジー

サワシバの若葉
5月に入り,気温の高い日が増えてきました.北海道のように長く寒い冬がある地域では,春になって生き物が動き始め,日に日に木々の緑が鮮やかになる様子が印象深いです.このように季節に応じて動植物の状態が周期的に変化することをフェノロジー(生物季節)といいます.おなじみのサクラの開花日もその一つですが,他にもアジサイやタンポポの開花,カエデやイチョウの紅葉など,気象庁では1953年より様々な植物のフェノロジーが観測されています.これらは季節の進み方を過去と比べるための指標となり,最近では温暖化の影響の評価にもよく使われています.春の訪れにともなう植物の反応は様々で,フクジュソウのように3月末には花を咲かせるものもあれば,ヤチダモのように6月上旬になってようやく葉を広げるものもあります.毎年の四季折々の楽しみに,身近にある色々な草木の変化をカレンダーに書きとめてみてはいかがでしょうか.(中村琢磨・田代直明)