36 ドングリの冬越し
ドングリ
11月に入ると木々たちの紅葉や実りもひと段落し,いよいよ冬の到来を待つばかりです。九州大学の森ではミズナラの森を人工的に作る試験を毎年行っています。ミズナラのドングリは年によって豊作と凶作がありますが今年は豊作年のようです。ドングリたちは秋に根を出し(写真),春になると一斉に芽吹いて成長を始めますが,。乾燥には弱く,湿った環境でないと発芽できません。また冬を迎えるネズミやリスなど動物たちの格好の餌にもなってしまいます。しかし動物たちに食べられるのは必ずしも悪いことではなく,例えばネズミやリスは冬に備えてドングリなどの食料を土に埋めて後日食べる貯食という行動をとりますが,忘れられて食べられずに発芽することがあります。この行為のおかげでドングリは親の木から遠くに運ばれ分布を広げることができ,土に埋められることで乾燥を防ぐこともできます。エサとなりつつもその中で生き残る。死中に活を求めるとは正にこのことのようです。(緒方健人・内海泰弘)