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湯の滝

雌阿寒岳の麓のオンネトー国設野営場から、歩道を1.5キロメートル進んだ場所に高低差20メートルほどの滝があります。滝上で湧き出る温泉が流れ落ちることから「湯の滝」と言われています。 流れの合間の黒い岩は酸化マンガンが堆積したもので、1950年代には鉱山として採取されていました。1980年代以降の調査により、マンガン酸化細菌の作用で二酸化マンガンが継続的に生成していることがわかり、2000年に「世界唯一の地表で酸化マンガン鉱床が生成中の地」として国の天然記念物に指定されました。希少性が認識される以前は、温泉利用を目的とした整備や、滝壺での観賞用熱帯魚の飼育等の観光開発が行われましたが、マンガンの生成現象や周辺の生態系への悪影響が心配されるため、入浴は禁止され、2013年からは環境省と住民の協力による熱帯魚の駆除が継続されています。湯の滝は、貴重な環境の保全と、教育研究の場としての利活用が望まれます。(山内康平・智和正明)

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