08 エゾアカガエル

演習林内で撮影されたエゾアカガエル
北海道にもともと生息するカエルは2種おり、その内の1種がエゾアカガエルです。繁殖期は平野部で4~5月とされていますが、3月下旬でも林内の湿地などで「キャララララ」と鳥のような澄んだ鳴き声を聞くことがあります。エゾアカガエルのオタマジャクシは、外敵がいる危険な環境下ではたらく誘導防御という戦略を示すことが知られています。例えば、エゾサンショウウオの幼生がいると、エゾアカガエルのオタマジャクシは頭胴部を巨大化させることでエゾサンショウウオの幼生に食べられることを防ぎます。一方でエゾサンショウウオが生息しない離島では外敵がいないため,そのようなオタマジャクシの頭胴部の巨大化は起こりません。現在、エゾアカガエルは国際自然保護連合のレッドリストでは、近い将来絶滅に瀕する見込みの低い低危険種に分類されています。しかし最近では、外来種のアメリカミンクによる越冬中のエゾアカガエルの捕食が報告されており、これまでとは違った捕食圧にさらされています。 (南木大祐,智和正明)