10 タモギタケ

ハルニレの倒木に発生したタモギタケ

日本では北海道と東北地方に自生するヒラタケ属のキノコで、北海道においては古くから食用として親しまれてきました。味噌汁などの具材として美味であるだけでなく、鮮黄色の見た目は食卓を華やかにしてくれます。アイヌ語でチキサニカルシ(ハルニレに生えるキノコ)と呼ばれるように、初夏から秋の間ハルニレを主とする広葉樹の切株や倒木に発生し、その発生期間の短さから「幻のキノコ」と呼ばれてきました。 北海道では1970年代に施設栽培が開始されて以降、品種や培地の研究が盛んに行われています。2005年には道立林産試験場で開発された「エルムマッシュ291」がタモギタケとしては日本で初めて品種登録され、スーパーなどで目にする機会も増えてきました。 タモギタケには、癌予防や糖尿病、高血圧抑制に対する有効成分が含まれているとされ、健康補助食品としても普及しています。かつて幻のキノコと呼ばれたタモギタケは、栽培技術の進歩により身近な存在になってきています。(村田秀介・智和正明)

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